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日々の破片

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2003-07-20

_ こんなにも死の恐怖は満ちているではないか(7/19)

というわけで、東京タワーに行った。

子供の誕生日で何が食べたいか訊いたら焼肉屋で焼ネギだというから(まあ、他にもいろいろあるわけだが)連れてって、帰り、大体21時30分くらいかな、なんとなく道路が空いていたから、昔、好きだった(子供が。僕もそうだが、大体、子供は好きなもんだ。理由はまあいろいろ考えられるが、オレンジ色の非日常性とかが1番の理由かも)トンネルでも通るか、とちょっと青山墓地を通り過ぎて、ハリウッド化粧品の下を潜り抜けた。

踏み切りと言えば代々木で、トンネルと言えば六本木(龍土町というのが正しいかも)だ。まあ、大木戸ってのもあるが。

そこは、今や六本木ヒルズだが、そんなものには目もくれず、赤羽橋の5サ路(サの字はなんだろう? 辞書ひくの面倒なんでカタカナだ)を左斜め向こうへ折れて、東京タワーを下から眺めるとこへ出る。

でっけぇなぁ。

で、突然、思いついて、駐車場が営業してるのを確認して、1度、飯倉のとこで左折して、ようするに一周して、中に入った。

駐車代は600円。まあ、そんなもんだ。

それから、次々と金を払ったり、エレベータに並んだりして、展望台に入る。そういや、誕生日の人にはプレゼントがあると書いてある。しかし証明書が必要だそうだ。大人には免許証とかあるんだが、小学生にはそんな気の利いたものは無い。だから、素直にあきらめる。健康保険証を携行する習慣がありゃいいんだろうが。

エレベータが1分かけて、展望台へ着く。

暗い。

ああ、外を見るためには、ガラスの内側は暗くなけりゃな。

カップルがたくさん。でも、少しは、家族連れもいないわけではない。

海を見たがるんで、お台場の観覧車とレインボーブリッジであたりをつけて指差してみても、良くわからないようだし、実際、良くわからない。

しょうがないので、予定調和に、特別展望台へ行く。大体250メートルってとこだ。

また、金を払い、エレベータを並んで待つ。良くわからないが、大阪女と関東男のカップルが目立つ。意外と静かなので、喋る声が良く聞こえるからだ。

さすがに、良く見える。海はただただ暗い。ようするに海だ。かっては威勢を誇ってった貿易センタービルは見る影も無い。あのあたりが竹芝桟橋で、あっちが日の出埠頭と子供に教える。なんだか良くわからないようだが、それでもそれなりに楽しそうだ。

新橋が妙に明るい。新橋色とは無縁に黄色が目立つ。その手前には不気味な森ビル(かな?)が2つ。シムシティ2000のビルみたいだ。すごく犯罪が多そうな感じだね。

赤羽橋の5サ路が気持ちよい。三田へ向かって長く伸びるし、周りが比較的暗いから車のライトでガンビー君みたいに見える。

もっともそう見たのは子供で、東京タワーのマスコットの名前を覚える気もなかったから思い出せないが、にそっくりだという言ったからだ。僕は、ヒトデに見えたのだ。

そういや、ロバートワイアットにヒトデを歌った歌があったような気がする。高校生のころ、友人が「ほらヒトデってさ……(ニヤリ)」と言うんだが、現在にいたるも、全然、ヒトデ?? なんだが。

妻が、あの黒い広々は何かと訊くので、浜離宮だと答える。本当に黒い。昼は緑で夜は黒か。そこら中に、そういう黒い穴があいている。実際、東京には意外なほど緑が多いものだ。

霊友会が黒い。増上寺が黒い。宗教だから黒いのか? 愛宕山も十分に黒い。電波を飛ばしていたから黒いのか? いや、何より、東麻布の上あたりが真っ黒だ。あそこは一体なんなんだ? ロシア大使館から狸穴、東麻布にかけては普通に街の様相を呈しているのに、246の分岐した(名前はなんだ? 首都高の下の通りだが)道側からロシア大使館まで、真っ黒だ。

気になって地図を今見ている。麻布永坂町? なんにも無いぞ。さらに調べると、超高級住宅街で、衆議院議長公邸があったりすることがわかる。まさに死んだ町だ。人間がそこに存在する証明がそこには無い。

#それに比べて東麻布ってのは、まるでガオロンセンだな。十番から赤羽橋までの距離をちらちら左を見ると、ところどころの切れ間から向こうが見えるんだが、その怪しいことと言ったらありゃしないし。だが、実際に訪れることは無いのだ。多分、妙に坂があるからだろうし、実際、怪しいんだろう。

突然、黒岩涙紅を主人公にした山田風太郎の短編を思い出すが、確か、このあたりが舞台だった。

展望台の1階が帰り道だ。真下を見ることができるガラス張りの床がところどころにある。子供と二人で、下を眺めて高いなぁ、とか言ったり。だが、妻はガラスの上に乗るのを嫌がる。怖いから。でも、そりゃ変じゃないか? ある意味、強化ガラスの床のほうがわけのわからぬ新建材の床より丈夫なんだぜ。それに覗き込んで下を見ても平気なわけなんだから、高所恐怖というわけでもあるまいし。

そう思ったが別に口には出さない。実際に目に見えるものと、目に見えないものでは、本当は目に見えないもののほうが恐ろしいのだ。そこで自分が地上150メートルという場所に剥き出しの鉄骨に辛うじて支えられて立っているという事実に気付く。

だが、それだけのことだ。

外に出ると、なんだかわけがわからないが、路上に座り込んで眺めている連中が目に入る。なんなんだろう? なぜ、中に入らず、眺めているのか。そりゃ確かにでっかいし、中に入ればそのでかさは見えなくなる。でも、中に入って見なければ見えないものもあるのだ。でも、まあ、そういうのもありだろうなぁ、と思いながら、帰るのであった。

_ 誤読に気付く

っていうか、金曜日だから7/18だが、サンドウィッチ屋の広告を誤読していたことに気付いた。っていうか、2週間してから見なおしたというわけで、普段いろんなものを見過ごしていることが良くわかる。

Encore plus France(もっとフランス)っていうコピーは、「あなたのおフランスをもっともっと」っていう意味じゃないんだろう。「フランスが足りない」という意味なんだ、きっと。

だから、GAPとベンツなんだ。それで、おフランスを補給するために、うちのサンドウィッチを食いねぇ呑みねぇっていうストーリーなんだろう。野菜が足りないからマヨネーズかけて野菜を食え、っていうキューピーの広告と同じようなコンセプトだ。

でも、それは日本で使う広告じゃないやね。

たとえば、別の国、たとえばソマリアでもベリーズ(カリブ海の国だとわかった)でもなんでもいいけど、の駅に、「もっと日本!」っていうコピーで、GAPとプジョー(別にヒュンダイでもなんでも良いが、ようするに日本車じゃないやつ。GAPが出てるからアメリカ以外がいいな)の街角の写真と、寿司屋(でも写真はカリフォルニアロールだったり)の食い物の写真を入れたポスターを貼って、それで意味が通じるのか? 通じるわけないだろ。

仮に何歩か譲って、件のサンドウィッチ屋がフランス資本で本国の広告をそのまま持ってきたと仮定したとしても、意味がわからな過ぎじゃないかな。

しかし、通勤時間ってのは、くだらないなぁ。


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