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日々の破片

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2007-09-28

_ Rails本第2版

いや、おれがさがしてたのはこれじゃないんだが(検索語:アジャイル)、

RailsによるアジャイルWebアプリケーション開発 第2版(Dave Thomas/David Heinemeier Hansson/Leon Breedt/Mike Clark/Andreas Schwarz/James Duncan Davidson/Justin Gehtland/前田 修吾)

DHH本の第2版が予約可能になってる。これはDave Thomasはからんでいないのかな?

_ と思ったら見つかった

角さん(と表紙には書いてあるし)からいただきました。どうもありがとうございます。まあ、大体読んだ。これはいい。

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き(Esther Derby/Diana Larsen/角 征典)

どちらかというと、直接は役に立たない(Howto本じゃない)が、読めば考える元になり(思想とか思索とか、というよりカタカナでパースペクティブがあり)、いろいろ深堀りするためのきっかけとなる書籍でおなじみのオーム社同時代開発者叢書の最新刊。訳者は、ぶりきじゃの角さんで、しかもジョエル本を訳された青木さんの厳しい突っ込みが入りまくってさらに磨かれたという本。

で、僕はこの本にはいろいろ教えられた。今までのやつより(チャドファウラーのインド本はガイドと銘打った実用書の体裁を取っているけど)現実への適用可能性はすごく大きい。というかプラグマティックプログラマーズの本棚シリーズだから当然なのだが。

まあ、読めば話は早いが、最初にレトロスペクティブとはどういうものかのパースペクティブがあって、それからアクティビティ集(レシピ集というか、お題集と考えればよいかも)がえんえんと続く。実用書っぽく、2〜3ページくらいの単位でテーゼがあって、ハウツーがあって、事例を再構築したと思われるケーススタディがある(で、1アクティビティ)。ミーティングのお題パターン本といっても良いかも。(あえて僕はミーティングというニュートラルな書き方をしている点に注意)

で、最初のパートで、レトロスペクティブなミーティングとは何か、何のためにやるのか、どういう手法でやるのか、その意義は、ゲインは何か、といったことが説明される。そうか、ミーティングってそういうものなのか、いや、こうであるべきだ、と教えられる。特に最初に全員に口を開けさせることとか、当事者意識を与えるための種々の方策とか、一時的な離脱についてとか、思い当たる節がいろいろあるだけに、ここに書かれていることは大筋でまったく正しいのだろう(逆に言うと、どこがアジャイルなのか、という疑問が出てくるかも知れないけど、それについては後述)。

可能ならば、つまり自分がリーダーのロールで開催しているミーティングを持っているのなら、読む価値は現実的なご利益つきであるし、参加者の立場であれば少なくても自分にとってミーティングのひと時の価値を高めることができる可能性があるし、たった一人プロジェクトであっても何に着目して考えるかについての大きな示唆となる。

上で、自分がミーティングをリードする立場であれば、と書いたけど、いきなりこの本を読んだ次のミーティングからこのスタイルをとるのは、自意識があればちょっと難しいかも知れない。だっておそらくそれまでとは違うスタイルになるから、参加者からこいつ悪いものでも食ったんじゃないかと思われる可能性があるし、そう思われなくても、そう思われるだろうな、と自分が意識してしまう可能性がある。だから、少しずつ、やるべきことを咀嚼して少しずつ導入していくか、さもなければ開き直って全員にまずこれを読めと与えて読ませて、こういうやり方でやりましょうと合意を取ってやるか、ということになるかも。

あと、まあ、違う考えも同時に載っているので、むしろ良いのだが、僕はレトロスペクティブとカタカナにしたのは正解だと思う。もちろん、それは人によって受ける印象は違うわけだが。

僕にとってレトロスペクティブという言葉は、1. ファッション(デザイン)用語の「レトロ」の正式な言い方、2. 美術館の特設展のお題の2種類で、後者について、たとえば

・トスカニーニ大回顧展

・トスカニーニレトロスペクティブ

・トスカニーニふりかえり

と並べれば、(3番目のはこの場合、意味がないおまけだけど)、1と2の差は明らかだ。1の場合は、おお、そんな人もいましたな。こんなことをしたのですな。という過去のものを過去のものとして楽しむための名前だ。でも2は違う。過去にいたそんな人がどのような人でどのような作品を残し、それによってでは現在のわれわれはそこから何をどう広げていくのか、という広がりを与える(もちろんパースペクティブという雰囲気が似たカタカナとの語感による連想がはたらくせいかも知れない。あとレ(リ)スペクトを重ねて読んでしまうという点もあるかも)言葉だからだ(漢字による意味の固定化を免れるというのがカタカナの一番のご利益で、洋モノを和モノより上に見るバイアスを刺激するという俗説は間違いだと思う)。

それから、これが一番感銘を受けた点なのだが、とにかく暗黙知を徹底的にくだいて形式知化する(40近いアクティビティカタログももちろんそうだが、第1章のあるべき姿の提示がすごい)姿勢が見事だ。しかもそれがアジャイルという価値観(アジャイルの価値観って、結局は人間を人間として処遇することで、人間の能力――機械には不可能なもの――を発揮させるということに尽きるんじゃないか)で貫かれている点だ。


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