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日々の破片

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著作一覧

2008-12-30

_ くまのプーさんがブームになる

突然、子供との間でくまのプーさんがブームになった。こんなにおもしろかったのか、というくらいにおもしろい。

クマのプーさん プー横丁にたった家(A・A・ミルン/E.H.シェパード/A.A. Milne/石井 桃子)

(家にあるのは、40年以上前におれのためにおれの母親が買った版だ。それにしても親子2代(3代かな? この場合)で共有できるってのが、本の良いところだ)

たとえば、いきなり大雨が降って、あたりが水没してしまう。周りを水に囲まれて身動きがとれなくなったこぶたが助けを求めるてがみをかくところ。「ぽくこぷたてす たすけてたすけて」そしてビンに詰めて流す。(読み返さずに書いているので正確な引用ではない。この後も)

いっぽう、くまのプーさんは大雨なのではちみつの壺を抱えて大木の枝に避難する。初日は10個の壺の間に足をぶらぶらさせているくまがいる。

次の日には4個の壺の間に足をぷらぷらさせているくまがいる。

その次の日には足をぷらぷらさせているくまがいる。

そこにビンが流れてくる。

「はちみつ!」

と、叫んでいきなり水に飛び込むプーさん。

開けるとがっかりするのだが、手紙が手紙だということはさすがに知っている。もちろん、字はほとんど読めない。それでもプーさんのぷの字は知っている。というわけで「ぷ」があるぞ。やった、このおてまみはプーにあてたてまみだ、と大喜びで、クリストファーロビンに読んでもらおうと出かけていく(なんのために水難を逃れて大木に避難していたんだか、と笑うところだとは思うが、その前に水に飛び込んでびんを拾っているのであった)。

そのころ、クリストファーロビンはふくろうと話ている。「ぼくは、プーが心配なんだ。あいつはあたまが弱いからなぁ」

ふくろうはちょっと考えて言う。「プーさんは、9個の壺の間で足をぷらぷらさせてましたよ」

というような具合に、いろいろなエピソードが縦横無尽に関連しあい、同じ言いまわしが数量だけ変えてこれでもかこれでもかと繰り返され(小さい子供が喜ぶパターンそのもの)、出てくる連中はみんなお人よし。

カンガルーを気味悪がって排斥運動を始めたうさぎは、子供を誘拐しておどして追い出すことを画策する。しかし、ルーがかわいいもんで一緒に仲良く遊ぶはめになる(地図を見るとうさぎの家とルーの砂場はすぐ近くなので、どうやらその後も仲良くやっているらしい)。

ティガは大言壮語の果てに、どうやら自分は水泳が得意なようだと自己欺瞞に陥り、しかしぴょんぴょんバウンスする能力を獲得する。

いやぁ、きれいさっぱり忘れていたが、おもしろいのなんのって。

また、石井桃子の訳がすばらしい。伝法な口調のかんがとか、すんまそんのぶつぶつやのイーヨとか、これ以上間抜けな言い方はないというくらいに間抜けたプーさん、元気いっぱいで何も考えていないのがまるわかりなルー(ぼくのおくすりのんじゃった)、こんなにいきいきとした日本語で書かれていたのか、とびっくりする。(もちろん、ちょうほうというような言い回しが出てくるわけだが、そういえばぼくが重宝ということばを知ったのは、もしかしたらこの本かも知れないが、このあたりの単語は多少、死んでいるような気もしないでもないが、子供はちゃんと知っていたので重畳重畳)

いや、それにしても、原文ではどうなっているんだろうか、とひとしきり楽しんだ後に子供と話し合い、結局、調べようとなった。1956年に死んだんだから、もう著作権は切れているから、インターネット上にテキストがあるだろう……無いよ。どこにも無い。イギリスも75年ルールになってしまったのか?

いずれにしろ、無い袖は振れないので、みたらそんなに高くもないのでペーパーバックを注文した。

Winnie-the-Pooh (Pooh Original Edition)(A. A. Milne/Ernest H. Shepard)

The House at Pooh Corner (Pooh Original Edition)(A. A. Milne/Ernest H. Shepard)

_ 恣意的帰納法

どんなに客観を装おおうとも、文章化した時点で(いわゆる)社会科学的な手法では主観が入る。

それは、全世界の全時間に発生する全現象から、いやおうなく選択が必要となるからだ。

したがって、どのような手段を弄しようとも、現在、その「全」を扱う手段がない以上、それは選択を伴い、結果的に主観となる。

これは、報道についても同じことで、どのような客観報道であろうとも、それは主観を持たざるを得ない。

何を書いているかというと、早めに言い訳を書いているのだ。

今、ある年表を作っている。

おもしろい。

主観によって選択された事象とは言え、それを客観的な事実に基づき年表にまとめていくと、そこにいやおうなしに傾向が浮かび上がる。

周期らしきものすら見えてくる(おそらく、それは最初の取捨の時点で、現時点で生き残っているに値するフィルタによってすでに取捨された結果だからなのだろう)。

それでも、そこに傾向が読める事実は否定できない。

この、関連しそうなことを年表化することで、ストーリーを読むというのは、山田風太郎が明治(幕末)物で取り入れたことで知られている。したがって風太郎メソッドということだ。

エドの舞踏会―山田風太郎明治小説全集〈8〉 (ちくま文庫)(山田 風太郎)

本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]
_ ムムリク (2008-12-30 10:23)

しばらく前のテレビ番組で、くまのプーさんらしき物語のもとを紹介していて「この有名な作家は誰?」みたいなクイズを出していたので、そこまでだしたらA・A・ミルン以外ないだろう、と思ったら、案外知らない人が多いという事実に愕然とした覚えが。<br>むしろ石井桃子のほうが有名だったりというくらいの影響力なのかもしれませんね。<br>そんなことを話あえる親子って素敵ですねえ。

_ arton (2008-12-30 10:30)

そのうち、シェパードの画がディズニーのぱちもん扱いされたりするわけですね。>ミルンを案外知らない

_ kikaineko (2008-12-30 11:02)

http://winnie-the-p00h.seesaa.net/<br>ここにpoohの原文が載っているようです。正しい原文かどうか、手元に本がないので分かりませんが、ぱっと読む限りは正しそうです。

_ arton (2008-12-30 12:08)

わお、本当だ。どうもありがとうございます。やはりテキストになっていると、検索できるので良いですね(いずれにしろペーパーバックも買ったので比べられるし)。<br>IT'S ME PIGLIT, HELP HELP! これが、「ぽくこぷたです、たすけてたすけて」みたいです。

_ arton (2008-12-31 13:08)

ペーパーバックだと、IT'S ME PIGLETになってるな。messageはmissage(おてまみ)だけど。


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