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日々の破片

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2013-09-14

_ スカラ座のリゴレット

指揮者も歌手も知らない人ばかりで、スカラ座のヴェルディということが売り物なのだろうと考えていたが、いやいや素晴らしかった。知名度というのは、クラシックのように一部のメディア(劇場を含む)の影響力のみが突出している世界では本当に大した意味がないと思い知った。

まず指揮者(ドゥダメル)が良い(とは言え、曲が曲だけにスカラ座を振れば誰でもできることなのかも知れないけど)。2幕終幕のアッチェレランドのスムーズな盛り上がりが印象的だった。

そしてジルダの歌手(モシュク)がスピーカーでは再生できないタイプの美しい声で(全体的な反響などによって空気がきれいに振動することで出るのだと思うが、NHKホールでああいう音を聴けるとは想像していなかっただけに驚いた)、痺れまくる。

マントヴァ公(デムーロ)は最初のあれもこれもではぱっとしない奴だなと失礼にも感じたが、ジルダとの二重唱の美しさ、女心の唄でのイタリアの頭の悪いテノール(ちょっと声が繊細だが)っぽい呑気で朗々とした歌い方、良い歌手だ。

スパラフチーレは最初の出現シーンのマント姿がかっこいい。

スパラフチーレといえば、店に入って来たマントヴァ公を見て、「優雅な野郎だな」と独り言を歌うのが実に良い感じで、そういえば、最初にリゴレットが陽気な良いご主人と評価し、ジルダが大絶賛し、廷臣たちによるジルダ誘拐の報告に対するマントヴァ公の反応を見ての様子(さっきまでの陰気っぷりが嘘のような興奮っぷりで、良かった良かった)、スパラフチーレの評価、海千山千のはずのマッダレーナの惚れっぷりと、脚本でマントヴァ公はジルダがそれでも一命を賭して助けたくなるような魅力あふれる人物だということを強調しまくっていることにこれまで気付いていなかった。(デムーロのマントヴァ公がコスチューム含めて、良い感じだというのも大きいと思う。特に、2幕でジルダを監禁している部屋へ駆け足で向かう演出が、女性機械論者のマントヴァ公ではなく、2幕冒頭の真情溢れるマントヴァ公っぽく見せるところなど)

リゴレット(ガグニーゼ)は変な癖がない良さがあり、オペラ全体としては実に楽しめた。

演出は服などはクラシックではあるけれど、1幕のシルエットを多用した2階建ての舞台、3幕の3階建ての舞台、高低差をうまく生かしたおもしろい演出。特に3幕の3階での唄(マントヴァ公が寝る前に歌う女心の唄)はほぼ耳の高さに来るからか、特に良く響いた。動きでは、1幕の自称貧乏学生が塀の戸口から女中を使って忍び込んで隠れるまでの一連の流れや、2幕でのマルジルダが玉座をいじりまくるのが印象的だ)

NHKホールは舞台から座席まで30mとか50mとかある、つまり舞台上の光景と音が余裕で100m秒は遅延し、それが2階のLやRではひどい音になる(時間がある分、ばらばらに届く音が反響し過ぎる)理由と思うのだが、3階や2階のセンターではきれいに響くことがあるようだ(2階センターの上のほうの席だった)。


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