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日々の破片

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2017-02-26

_ レッツダンス

野崎さんのWhere Are We Now?の解釈がすごくおもしろくて、ふと考えた。

ほとんどの場合、ロックの歌詞なんてしょせん歌詞で、せいぜい意味があるとしても、ジョンライドンの皮肉や、ジョーストラマーの社会抗議くらいで、音にうまくのれば良いや程度のものに過ぎないと、これまでほとんど見過ごしてきた(聞き取りが難しすぎるというのもある。日本語ロックでさえ完全に言葉を聞き取れないくらいなわけだし)。

でも、生涯にわたって自分のイメージを徹底的に制御してきて、しかも常に失敗してさえ生き残ってきた人間は、ときどき使われる言葉ではあるが、やはりアーティストなのであって、そうそう音にのれば良い程度で作っているというわけでもないのではないか。

とすれば、一番、まともに解釈されたことがない作品であっても、そこにはやはり一貫性があるのではなかろうか。

と、考えればすぐに考え付くのは、ばかみたいに売れた作品だ。売るための作品として作ったというのは有名で、本当にその通りに売れまくった、とは言え、それは音楽作品としての全体であって、詞には詩があるのではなかろうか?

というわけで、modern love lyricで検索してみて、あらためて読むと、なんだこれ。

I know when to go out

And when to stay in

Get things done

I catch a paper boy

But things don't really change

I'm standing in the wind

But I never wave bye-bye

But I try I try

出ていくべき時はわかっているし、いつ留まるべきかも知っている、さあ、刈り入れの時がきた。

としゃべって、

新聞売りの小僧を捕まえて、新聞読んだ。1972、5年たって1977、おや、1982(発売は1983だけど)、もう10年たってしまったが、何も変わってないじゃん。

そこにはただ風(とくると、the windはwildだ(倒置法だと思う)という言葉が当然想起される)が吹いているだけ。(もちろん、この訳は誤訳だ。当然、1982年に出版されたWhen the Wind Blowsの意味に違いない。ボウイがこの映画(1986年)の曲を歌ったのはどの縁なんだ?)

でも、あきらめないもんね。トライし続けるぞ。

70年代岩谷超訳スタイルだ)

風が吹くとき(レイモンド ブリッグズ)

びっくりするくらいに、ボウイだった。しかも、さあ売るぞ! と宣言まで入っている。ベルリンからの蟄居時代の終焉を宣言してたのか。

まさか、modern loveをstone (age) loveにかけたわけではないだろうから、loveとはmusicなのかも知れないけど、スターマンの眼差しの可能性もあるわけだな。

Let's Dance(Bowie, David)

で、Let's Danceのほうも見てみると(面倒になって詞は見ていないわけだが)、これはもしかしてmodern loveとsoul loveの戦いの話なのか? とか、これまたいろいろ意味深に作ってあって、いったい、おれは1983年当時、何を見て何を聴いていたんだ? と不思議になった。

すると、やはり風が吹くときが描かれていて、作品全体としては兆弾とかあったり、悲観と楽観、終焉の予感と復活の希望みたいなものが混じり合った世界で、あー、音だけ聴いても、そのヒットだけを取ってもだめで、全体で(しかもすべての作品の中のその時期という見方で)味合わなければだめなんだなぁと思い知るのであった。


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