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日々の破片

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2018-11-11

_ ハナレイ・ベイ

子供がおもしろかったから観に行こうというので、ハナレイ・ベイを観に行った。

監督も役者もまったく知らないので、知っているのは原作者だけだ。とはいえ、読んだのはせいぜい羊を巡る冒険までなので最近の作風は知らない。

音楽がなぜイギーポップなんだ。

いきなり出てきたサーファーが死んで親が呼ばれる。検視医か何かが鮫に襲われたというようなことを言う。

主人公、部屋に戻るところで字幕が入り、息子が死んだ。サメに襲われたのだ。とかいうような文字が並ぶ。

そうだ、この作家は非常に乾いた笑いを隠し持つやつだったと思い出した。ばつぐんにばかばかしく、ふつうだったら大爆笑するところだが、なぜか劇場はそういう雰囲気ではないので我慢する。

どうも夫はイギーポップタイプ(本物はちょっと違うっぽいが)らしい。もっとも注射じゃなくて吸引だが。

死因がまたふざけている。ハイになって腹上死。

原作がどうなっているのかは知らないが、映画はこまごまとしたシーンすべてにノードを作ってネットワークを張り巡らす。息子がハワイへ旅立つときに受け取ることを拒否されるサンドウィッチは、10年後に知り合う学生に渡される。シカゴで学んだ料理はなんだったのだろうか。言ってみただけなのだろう。

最初の年では一番でっかく頑丈な車を借りるが(アメリカでのセオリー)、10年たつとこんな車が存在するのかと驚かれるほど小さい車を乗り回す。最初の年では昼飯の間に太陽が移動するので椅子の位置を変えるが10年たつとあらかじめ変えておく。

公園のスケートボードのシーンは悪くない。

長髪のヒッピーっぽいあんちゃんが、しっかりとホテルを切り盛りして爽やかになっているところで、おぎじゅんを想起せざるを得ない。

次々と関わる人たちが死ぬ。良くしてくれた警官かな?は強盗かなにかに打ち殺される。おぎじゅんの相棒はイラクで死ぬ。別の相棒がイラクで死んだ海兵隊(ステロタイプだ)は怒っている。だが関わらなくても人間は死ぬものなのだ。

日本で学生二人組が1人になっているので、トラヤの息子(とおれには受け取れたが子供によれば洋菓子だから違うらしい)は交通事故で死んだのかと思ったら、まだフェラーリは無事のようだ。が、すぐに死ぬだろう。

映画作法はすべてにおいて良くできていて、目配せも悪くない。

死んでいた心が、死んだことを自覚することで甦るところは、それほど大袈裟ではないのでこれも悪くない。

クレジットを見ていると原作に綺譚とあって、ああゴーストストーリーだったのかと知った。そこは映画のうえではまったく重要ではないので無視していた。幽霊よりも怖いのは生きた人間なのだ。ハートリーか何かにもあったが、それはそういうものだ。地縛されたらそこにいるしかないのだ。ジバニャンは歩き回るがネコとはそういう生き物だ。だから最初の年にはエドガーアランポーを読む。

でも海で鮫に襲われるよりは街でパン屋を襲うほうが良い。

パン屋を襲う(村上 春樹/カット メンシック)

(マックはパン屋じゃないが、夜中だからマックに行く話だったっけ)

サンドウィッチの部分は重要なのかも知れない。本人にはともかく息子と同世代の人間には味が濃過ぎる。息子はちょっとためらった末に手に取らない。死んで10年たつまで、自覚せずに息子の口に合わないものを出し続けていたのかも知れない。だけど息子はそれに抗議することはない。そういうものだ。


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