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日々の破片

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2020-08-10

_ Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち

(twitterにしか書いていなかったので採録)

Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち を和田さんからもらったので眺めたが、これは抜群におもしろい!

のは良いが、例によってアマゾンで書影を取ろうとしたら品切れとかになっている(数が出ないまともな本なので転売ヤーとかも出てない)。

なので、ラムダノートから直接買えば良いのであった。

というか、確かに鹿野さんと和田さんコンビでまとめたVOYAGEのある種のPR本だからなんだろうけど、電子版で1000円って安過ぎないか? (労力(コスト)と価値(バリュー)は異なるという典型例のような)

この本は、次の点で全く(ではないけど)新しい。

ちょっと2020年代の技術書の方法論として実験的な感じもする。

一言だと、VOYAGEグループの各社各機能の技術担当者が、自社の取り組みについて語るという内容になる。

だから、PR本だし、リクルートのための案内本ではある(ここはネガティブな意味を少し含めて書いている)。

したがって、いやいやVOYAGEグループなんて全然興味ないし、みたいな反応を得てしまうと意味が無い本になるのだろう。

が、抜群におもしろいのは次の点だ。そして、おれが感じるおもしろさは、多分相当に普遍的な価値感ではないかと思うというか信じられる。

形式はインタビュー形式となっている。したがって、単にVOYAGEグループの各担当者が自慢話を単に並べるというわけではない。

聞き手が、匿名の聞き手なのだが和田さんというテスト大魔王と、鹿野さんというシステムを組める技術書の辣腕編集者だという点がここで生きて来ている。

具体的に例を上げるとfluct社のあじよしさんとすずけんさんが出て来て広告配信おもしろいよ! と語りまくる第1章だと、2010年の起業時の広告配信技術から始まり現在までの苦労話に本来はなるところが、要所要所で技術要素の解説がコラム形式で入り、インタビュアーが運用回りの課題やシステム更改の課題などについて容赦なく質問を浴びせて行くことで、企業が持つ開発文化まで開示させながら、ベストプラクティスやワーストプラクティス(こういう障害があったときに、こういうログがなかったのでえらく困ったみたいなこととか)が明らかになっていく。

それが、インタビューという形式をとることで全体の流れと深堀されるところのバランスがうまく取れて行く。

通常の書きおろした文章とも違うビデオを視聴するような読みやすさがある一方、ビデオ的な一方的な語りに堕すこともなく、諸論点が浮き彫りになる。

これが抜群。

fluctの次はZucksで、こちらもアドテクなのだが、向きが異なるからか(fluctはメディア側、Zucksはコンシューマ側という理解であっているかな?)DevOps重要な体質が読み取れる。

で第3章がECナビで、20年のレガシー戦争が描かれる。P.84のお花畑(モデルの依存関係チャート)がすさまじい。

あ、奥付見たら製作費はVOYAGEから支援されたとあるから、PR本という見立ては間違いではなかった。

ただ、凡百のPR本とは違って、提供される価値がえらくでかいから、たかだか1000円、しかもインタビュー形式ですらすら読める、要所要所の技術解説はカタログ的に記憶する意味がある、読む価値でかい。

装丁がきれいだから書籍版のほうが良いかも。

どうしてこの言葉みたいなインタビューイのパートの一部が抜き出して箱に入っているのだが、これはパターン言語なのかなぁ。部分部分は妙だが(例:旅行先でそのゲームを普通に楽しんでいた)、そこだけ拾って読んでも意味が立ち上がるのがおもしろい。

Engineers in VOYAGE ― 事業をエンジニアリングする技術者たち(株式会社VOYAGE GROUP)


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