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日々の破片

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2021-01-17

_ ロボット・イン・ザ・ガーデンを観た

自由劇場でロボット・イン・ザ・ガーデンを観る。

300人くらいの劇場で、入るとなんかガラクタの山のような舞台セットが見えて、CATSといいガラクタの山が好きなのか? と考えるが、もちろんたまたまなのだろう(そうではない演目のほうが多いし)。

先日読んだ小説とは幾分異なる。

1幕での1番の違いは原発事故で無人となった町の犬の扱いで、原作のほうだと奇妙な味わいがあるエピソードなのに対して、物語の登場人物たちと密接に関係させることでうまく物語の枠に組み込んでいる。歌われる砂漠の歌もなかなか良いものだ。

2幕はというよりも最後は相当別の作品としている。

まず、東京を示す歌(曲そのものだけではなく歌唱方法も含めて)と踊りが見事でこれは抜群にうまい。なるほどこれは東京ですな。

幾分か子供用かあるいは日本の観客の道徳観(なのかなぁ)に沿わせた改変はあるが、それは元の作品がいい加減なのでどうでも良く、びっくりしたのは、最も感動的な2つのシーン(ロボットのタングが命名の由来を語るところと、新しい家族を迎えるところ)がまったく異なるものになっていることだった。

この2つを合成して、タングが新しい家族に挨拶するように改変することで、見事に凝縮したクライマックスが描かれる。四季だけにあざとさは抜群と感じてしまうが、それをおいておけば実に見事だ。

というわけで、あまり体調が良くないので1幕のカリフォルニア(劇中ではサンフランシスコとなっていた)のホテルでの長い歌と踊りのシーンで気を失った以外は、全編楽しめた。

その他の原作との異動でなるほどと思った細かい点では、原作ではタングがアンドロイドを憎悪していることが処々で示されるのに、それらのエピソードが切り捨てられていることと(おそらくこれは辻褄としてタングのプログラムの由来を原作(曖昧だが、それ自身もその場ででっち上げた)と変えて物語に連続性を持たせたことに由来しているのだろう。もちろん突っ込もうと思えば、相当学習済みのはずなのに最初はほとんど空っぽなのはなぜだ? となってしまうから、その点では原作が正しいのだが、短いセリフで辻褄を合わせるにはしょうがないのだろうな。

あと、アルミニウムに対するベンのツッコミが無い点は気になったけど(嘘をつく能力とベンに内緒にする能力の表出は、四季版ではネットワークアクセス以外については特に示していないからだが、逆にそれがクライマックスの作り方にも影響していなくもないのだろう)、物語的には余計だからしょうがない。


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