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日々の破片

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2021-07-11

_ The Last 5 Years

子供に誘われて有楽町のオルタナティブシアターでThe Last 5 Yearsを観る。

作者はパレードの人らしいが、パレードと異なり演者2人のオフブロードウェイ作品とのこと。

最初女がジェレミーと呼びかける去って行った夫に対する思いを歌う。

そこにスマホをいじる若いジェレミーが登場。キャシーに恋をしちゃったという歌を歌う。

キャシーは劇評が好意的だったといいながらエージェントに次の仕事を頼むがうまくいかない。

ジェレミーは教授に紹介された編集者から小説採用の電話を受ける。

キャシーはオハイオでのドサ回りの歌を歌いながら、ジェレミーのサイン会を見ている。田舎の本屋にもジェレミーの本が並んでいるのを見て誇らしい(のは1つ後だったかな?)

男は有頂天時代。

キャシーはジェレミーの出版パーティに参加するかしないかで喧嘩をする。

二人は結婚し、二人で歌う。

キャシーはわくわくしている。

ジェレミーは何かうまくいかなくなっていることを感じる。執筆は孤独な作業で、キャシーはそれがわからないのか。

キャシーは田舎から出て来て高校時代の友人たちがマイルドヤンキー化したけど私は違うと歌う。

ジェレミーは編集者と懇ろになり、キャシーと別れることを決意する。

キャシーは今日のデートが終わってジェレミーに別れを告げる。ジェレミーはキャシーに別れを告げる。

と、恋して結婚して破局するまでを女は現在から過去へ男は過去から現在へ逆に時間をたどる。

シンクロするのは、結婚のときと別れのときだけだ。

この構成はおもしろい。舞台劇だからこそ空間の共存と時間の非共存が可能なのだな。

特に逆順になる女役の歌手は気分の切り替えが普通の劇の逆になる(あくまでもだんだん幸福になるわけではなく、諦念から希望満々に逆行するのだ)から難しそうだ。

僕が観たのは、昆夏美という人がキャシーで、どうにも痛々しい(が、実際には売れなく男に去られる役者ではなく、まさに今舞台で演じている人間なわけで、その役者というものの二重性がおもしろいといえばおもしろい)が、元気いっぱい、特に最後のほうの希望と野心に燃えているところはうまいと感じた。

ただなんというか、最初から成功しつつある男と、最初からうまくいっていない女の別れ話で、かつ視線は敗者(少なくともこの劇の時点で)側に置かれているのでそれほど気持ちが良い劇ではない。が、こじんまりとした心理劇としてはおもしろい。

曲は1曲目が、どうにもロイドウェバーの劇場ネコの歌みたいで、続く2曲目も(聞いているときはそっちの曲が聞こえるくらいだったが今となっては思い出せない)そっくりだなと感じたが、確かにパレードの作曲家らしい。リズミカルな曲がうまく、楽器の音色の重ね方は抜群だ。

子供も楽器の使い方がうまいと言うので、おそらく正規の音楽教育を受けているのではなかろうか? その意味ではレントの作者の対極のようなとか話ながら帰る。

The Last 5 Years Songbook: Movie Vocal Selections (PIANO, VOIX, GU) (English Edition)(-)

映画にもなったようだが、時空の構成が舞台と同じとは考えにくい。


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