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日々の破片

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2022-06-24

_ 駅馬車

BSで駅馬車をやっていたので録画して観た。そういえば数週間前のリオ・ロボもみたので、ジョンフォードとハワードホークスにジョンウェインを配した西部劇の代表作を観たことになる。多分、本当に子供の頃にテレビで観たような記憶がないわけでもないが、まともに観たのはこれが最初だ。

駅馬車が町にやってくる。到着した身重(しかも臨月らしいのだが、そういう厄介な特徴は台詞だけに留まっていてちょっとおもしろい)の婦人は騎兵隊の大尉である夫の駐在地に来たわけなのだが、残念、彼は隣町へ移動した後だった。かくして駅馬車の旅を続けることにする。

一方、町では婦人会が反道徳的な人たちの追放を始めている。

かくして娼婦が町からの追放を突き付けられる。同様に始終酔っ払っている医者も追放される。かくして二人は駅馬車に乗らざるを得なくなる。そういう町だから酒の行商人(なぜか牧師のような服を着ているのでいつも間違えられる)もこの町での商売に見切りをつけて(かどうかはわからん)やはり駅馬車の人となる。というか医者に試供品を飲まれまくる。

その婦人会の親玉の夫は銀行をやっているのだが、今まさに預けられた5万ドルに目が眩み(だけではなく、この町に見切りをつけたのかも知れないし、奥さんが狂信的で気持ち悪くて我慢の限界となったのかも知れないし、ちょうど町の電信が故障したのを奇貨としたのかもしれない)やはり駅馬車に乗り込む(ただし町外れで)。電信が故障したというのはある種の伏線となっていて、やたらと頭取が駅馬車の出発を急がせる理由となっている(が、残念、目的地に着くと電信は直っているのだった)

さらには妙に紳士的に振る舞う賭博師は身重の婦人の護衛を自らかって出て駅馬車に乗り込む。ジョンキャラダインなのだが狐過ぎる。なんとなく七人の侍の久蔵を想起して、こいつは死ぬと思ったら本当に死んでしまった。

南北戦争をどう呼ぶかで、医者と賭博師の間で言い合いがある(というか、医者が反乱というような言い方をすると、賭博師が解放戦争だと言い直すように迫る)。

その頃保安官事務所にはリンゴ・キッドが脱獄したという情報が入ってくる。ということはやつは駅馬車に乗り込むに違いないと保安官も駅馬車に乗る。

アパッチ族が進軍したという情報があるため、騎兵隊が護衛につく。その情報をもたらすのはシャイアン族なのだが、「ていうか野郎もアパッチじゃんか」「ばか、ありゃおれたちの味方のシャイアンだ」というようなやり取りで説明される。

町を出ると案の定リンゴ・キッドが乗り込んでくる。保安官はリンゴのライフルを取り上げる。

という最初の町を出発するまでにすべての物語の前提を凄まじい勢いでまくし立てる。うまい。

そして行く先々ですべて回収していく。

夫を訪ねてきた身重の婦人に対しては、夫が戦争で傷ついたというショックと、ショックによって産気づいて、医者が取り上げて娼婦が赤ん坊の面倒を一生懸命みる。

たった17歳で収監されていた(おそらく女性を知らない)リンゴ・キッドはその姿を見て結婚をもちかける。

渡し舟はアパッチに破壊されているため、馬車に浮きをくくりつけ、馬に渡河させる。本当にこういうことあったのかなぁ?(馬車は木箱だからできなくはないだろうけど)

アパッチが襲撃してくる。馬車に追いついた一人が馬にまたがり馬車から外そうとする。が、保安官かキッドに撃たれる。それでもしがつみくのだが、さらに撃たれて転がり落ちる。その上を後続の馬が駆け抜け、おまけに馬車も通り過ぎる。すげぇアクションだ。

南軍の矜持と貴族的な振る舞いにやたらと気をつけている賭博師は南部の大物の子弟だということを最後にぽつりと呟きながらフラグ通りにアパッチの襲撃で受けた銃弾で息を引き取る。

頭取は逮捕される。

婦人は蔑んでいた娼婦に対して心からの謝意を述べる。

保安官はキッドの復讐を見て見ぬふりをする。そしてキッドは父親と弟の仇を討つ(早打ち合戦はまったく描写されずにライフルの音が1発、拳銃の音が1発、さらにライフルの音が2発聞こえる)。

医者と保安官はキッド夫婦を送り出す。

なるほど、これは誰が観ても傑作としか言いようがない作品だった。

駅馬車(字幕版)(ジョン・ウェイ)


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