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日々の破片

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2022-08-12

_ ブラックライダー

BSでやったブラックライダー(70年代初頭の映画)の録画を観てびっくり。正直黒人の西部劇珍しいな程度の興味で観たのだが、シドニーポワチエが映画作家として実に見事な手腕で驚いた。よく観れば、遠くから映して徐々に近づいてアップで表情、そこからロングにして何が起きているかを示し、またアップ、の繰り返しなのだが、バランスが抜群。観ていて全然弛緩がない。

マウスハープだと思うのだが、ビーヨンビーヨンみたいな気の抜けた音楽が入りまくるのでオフビートっぽくもあり、ハリーベラフォンテとシドニーポワチエの軽口の応酬が楽しいのだが、内容は殺伐としていて、そのアンバランスがまた良い。

物語はミシシッピーからモンタナへ移住しようとする黒人(南北戦争後なので解放されている)の幌馬車隊の案内人に雇われたシドニーポワチエ、ミシシッピーの農園主に雇われてこれらの黒人を連れ戻してこき使おうとする白人グループ(言うこときかない黒人は容赦なく殺し、移住を阻止するために家畜は殺戮、苗や種は燃やしまくる、あまりに殺しまくるのでKKKの原初の姿のようでもあるし、確かKKKは黒人の労働力を縛り付けることを目的として結成されたはずだから、おそらくそうなのだろう)、法の番人として解放奴隷の人権を尊重する保安官(端役)、いかさま伝道師だが縁あってシドニーポワチエと行動を共にしてついには銀行強盗までするハリーベラフォンテ(声といい演技といい抜群。歌を歌うわけではない。最初は全裸で帽子でちんこを隠して登場といういけてる歌手とはまったく思えない扱いなのだが、実に良い味を出している。副主人公のいかさま伝道師といえばトライガンだが、近いものがある)、ポワチエの恋人のルビー(よく知らんが老いてもスパイクリーの映画に出てくる民権運動の闘士(の妻、といっても本人も闘士なのだろう)、白人から土地を奪還するために雌伏しているインディアン(ポワチエとは腐れ縁)の殺し合いで、最後は幌馬車ものの王道で約束の地へ無事に到着する。

大傑作だった。

トライガン・マキシマム(2) (ヤングキングコミックス)(内藤泰弘)


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