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日々の破片

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2025-10-11

_ 新国立劇場のラボエーム

妙にテンポ感が異なる指揮者で序曲(とは言い難い短さだが)からびっくりというので、ものすごく楽しみにしていたのだが痛恨の極みで、いつも通り14:00からだろうと13:30くらいに着いたら、なぜか13:00開演で既にミミが歌い始めていた。結局、モニターで女神のあたりから聴いて2幕から入場できた。

噂のテンポ感については、ムゼッタのワルツがびっくりするほど(確かにびっくりさせられる)ゆったりとしたワルツではなくレントラーかというような(レントに引っ張られているのであって、本当にレントラーの速度かどうかはあまり関係ない)速度だが、歌手(伊藤晴)がちゃんとついていっているのも凄い。結果として限りなく甘美な歌となって、これはどれだけ固く石のように冷え切っているマルチェッロでも振り向かざるを得ないだろうと舌を巻く。逆にマルチェッロのおれの心はまだ熱いが相当薄まってしまったような気はする。

3幕も実に良い。

ガンチのロドルフォは実にきれいな声で抜群。

4幕、それまで他の歌手に比べて声も低いようなどうにもいまひとつに感じていたミミ(マリーナ・コスタジャクソン)も良く、ちゃんと一幕から聴いていなかったせいで気分的に受け入れられなかったのかな? と思う。

それにしてもこの演出(というよりも今回の字幕、いつもと変えているとは思えないのだが)のショナールの「もって半年だな」とか、いろいろショナール(駒田敏章)が目立つ。

目立つだけに、それまで気にしたこともなかったが、プッチーニが脚本にいちいちダメ出ししまくったという逸話とあわせて、ジャコーザとイリッカが本当にいちいち余計なことを言って不快な野郎だから音楽家は一言多いダメ男にしてやろうと相談してああなった(が、コリーネに諭されて改心するわけで、ここにも実は何か実際のエピソードがあるのかも知れない)のかなぁと考える。

いずれにしても、どうにも、これまで観たどのラボエームよりも素晴らしかったように感じるだけに13:00開演を逃したのは痛恨の極みだ。


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