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日々の破片

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著作一覧

2010-01-23

_ 血は立ったまま眠ることすら許さない

ドアノブで首を吊るというネタを目にすると、二つの文学作品を思い浮かべる。

水中都市・デンドロカカリヤ (新潮文庫)(安部 公房)

1つは安部公房の闖入者だ。

平和に平凡に暮らすぼくの家に突然大家族がやってくる。ぼくはすべてを奪われ、最後に唯一居ることを許された屋根裏部屋で首をくくる。天井と床の間が1メートルとないので、膝を屈して。

もう1つはドストエフスキーの悪霊で、全てを統べる能力を持つがゆえに、何事もできず、スタヴローギンは最後に首をくくる。膝を屈しているため、祈っているかのように(アナキンスカイウォーカーのジェダイ第一期の最期にも投影があるように思う)。

悪霊 (上巻) (新潮文庫)(ドストエフスキー/江川 卓)

自ら死ぬにあたって、わざわざ膝を屈するというのは、何かただ事ならぬ理由があるのだ。

安部公房がとてつもないのは、その理由を天井の物理的高さに矮小化してみせたことだ。故に激しく読者の胸をうつ。

一度目は悲劇でも二度目は喜劇だ。

そのため、身長という物理的特性にネタ化してみせられてもそれを言う口の愚かしさのみが目立つ。


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