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日々の破片

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2010-01-24

_ アデュー・フィリピーヌ

ジャックロジェのアデューフィリピーヌを観にユーロスペース。

ヌーヴェル・ヴァーグ セレクション (パリところどこ/アデュー・フィリピーヌ) [DVD]

映画評論家の仕事は呪われた作家を探すことなので、30年前にはジャックリヴェットのことを散々呪われた呪われたと呪文を唱えていたし、15年前にはジャン・ユスターシュのことを呪われた呪われたと呪文を唱え、そして今はジャックロジェのことを呪われた呪われたと呪文を唱える。

それにしても、遥か以前に夜想のヌーヴェルヴァーグ特集に船に乗った男女のスチル写真だけで見ることができたアデューフィリピーヌを、ちゃんと映画館で観られるというのは良いことだ。

最初にクレジット。1960年で、それはアルジェリア紛争の6年目のことだということが示される。

いきなりテレビの撮影風景が始まる。マキシムソーリというラッパ吹きのジャズ楽団の録画らしい。ADがカメラマンに頼まれてマイクの替えを取りに行かされる。ADは薄い口ひげを生やした若者(というか、ADなんだからそりゃ若い)、名前はミシェル。収録室の出口で仲間の尻を蹴飛ばして、じゃれあう。こういうどうでも良いシーンが、でも映画だ。

スタジオの入り口で頭の弱そうな女の子が4人、中をのぞいている。いつの時代でもそうだったらしい。で、マイクを取って来た帰り道、相変わらずそこにいる女の子をナンパする。テレビに興味があるのかい? 撮影風景を見る? 誰がでてるの。マキシムだ。マキシムって? ソーリだ。2人が引っかかり、2人は待ち合わせだからと断る。リリアーヌとジュリエットを連れてスタジオに戻る。

で、最初は3人でデート。

次は仲間5人で中古のルノーを買いに行くシーン。進む、戻る、音楽、の繰り返しというかやり直し。途中で髭のアラブ人(デデ)を見つける。彼はアルジェリアから帰って来たところだ。車に乗せて家へ連れて帰る。ほかの連中より余分に金を出したからだ。

家では4人が飯を食っている。たぶん、父、母、義兄、姉だと思う。ミシェルは遅いわね。先に食ってりゃ、匂いを嗅ぎ付けて飛んでくるだろう。で、食べ始める。爆音と共に車が家の前に止まる。ほらいったとおりだ。

テレビ局は将来性がある職場だ。といった会話。そして、デデ、君の車かね? で始まる車を巡る大喧嘩。

リリアーヌとジュリエットの箒(あるいはワックス材)のCM。撮り直しに次ぐ撮り直し。ラッシュ。

(後になって、アデューフィリピーヌのプロデューサがアデューフィリピーヌの試写を観てラッシュだと思ったとか、撮り直しに次ぐ撮り直しでうんざりさせられたとか知り、まあ、いろいろ含みがありそうな)

一方、ミシェルは最初ジュリエットに電話し、出ないので、次にリリアーヌに電話する。リリアーヌの母親とリリアーヌのベッドの上での会話。

最初に映画のポスターが映り、次に電話を取る社長。しかしカメラが引くと実にせせこましいアパルトマンの一室がオフィスだということがわかる。

で、そのCM会社の社長兼プロデューサに持ちかけられて冷蔵庫のCMを作成することになる。北極でも冷蔵庫は必要! (だが、ペンギンが置いてある) 社長は、冷蔵庫会社の社長のネクタイが気になり、撮り直しを何度もさせる。

靴会社の副社長とジュリエット、ミシェルとリリアーヌのダブルデート。副社長はチャチャチャは踊れないが、チャールストンはやたらとうまい。

トイレでジュリエットとリリアーヌの陰謀、席で和やかにしかし沈黙のまま煙草を吸う副社長とミシェル。去る副社長。徴兵を逃れるための算段があったらしいことが仄めかされるが良くわからない。

プロデューサの居留守、逃走。

ミシェルは2ヶ月後に徴兵されることがわかっている。

テレビ局をクビになる。時代劇を撮影中のカメラの前を横切ったからだ。この横切り方が見事だ。当時のテレビの収録は一発勝負だったのかな。おそらくそうだ。ビデオテープはまだ無いし、フィルムを使ったらテレビではない。

ミシェルはコルシカへ行く。おれも乗るぜ、と最初のスタジオのシーンで尻を蹴られた相棒。

かくして、舞台はパリからコルシカへ。

マルセイユからの一群を乗せたバスが到着する。そこにはジュリエットとリリアーヌがいる。

そこで、プロデューサを追っかける冒険が始まる。

石ころだらけの海岸で野宿する。ミシェルはテントに入らず外で寝ている。そこにジュリエットが来る。

朝、泣いているリリアーヌ。

ラジエータが空になって車が止まる。リリアーヌは残る。

突如、船が壊れた陽気なイタリア人登場。スイムスーツをリリアーヌに手伝ってもらって脱ぐ。

4人で出発する。僕は去らないよというような唄を朗々と歌い続けるイタリア人。去っちまえ、と呟くミシェル。

エンジンが止まったようだ、みんな押してくれ。

リリアーヌも大笑いして、3人のペースが戻る。

ジュリエットとミシェルはプロデューサを探しに出る。リリアーヌのところに船で戻ってくるミシェル。

コテージ(キャンプ場?)でのダンスのシーン。延々と。

局留めの手紙を読むと、4日後に召集とある。すぐにコルシカを離れる必要があり、近場の港へ進む。どっちを取るの? 簡単だ。僕を待っていたほうだ。まじめな話なのよ。

船を追っかけてきて手を振る2人。船は遠くから取っているのでミシェルの態度はわからない。おしまい。

どのシーンを取ってもまぎれもなく映画以外のなにものでもない表現。リソースはかすだがリプレゼンテーションは最高。これまで観た中で3番目くらいに好きな映画の登場だ。

_ 別のシーン

二人でミシェルのことを歩きながら話す。音楽がかぶっている。横からずーっと撮る。電話ボックスに入ったところで、環境音。


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