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日々の破片

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2016-05-31

_ Unix考古学の夕べ2

銀座松竹タワーのドワンゴセミナールームで、著者の藤田さんによるUnix考古学の夕べ2に参加。

現在はIIJのようで、前ふりは和田英一先生からUnixはどうでもよいけどMulticsについて書いてあるんなら1冊持って来いと言われてあわてて献本したという話から。

で、和田先生からWhirlwind(P.13)はいまも富士通のどこかにあるはずで、当時ゴードンベルが富士通の何かが欲しくてバーターしたはずだとか。

さらに1958年にMITでTX-0(P.15)を見学したが「電動タイプライターによく似た機構のコンソール」とはFlexowriterだったと教わって、さらに1973年にMITで教鞭をとっているときに学生がレポートを印刷して持ってきたので(1973年だよ)一体どうやったんだ? と尋ねたらTX-0を使ったんだと言われたとか。

で、タイムシェアリングのアイディアは1958年にパリの会議でChristopher Strachey(チューリングの友達)が提唱したのが最初だったんじゃないかなぁとか、さらにはDoug McIlroyがパイプパイプ連呼していた(P.50)のをIFIPの会議で聞かされたなぁ(Unixよりはるか前のこと)とかガンガン聞かされて、こうなるとMulticsの考古学をやりたいなぁという話となった。

(現在、和田先生はRaspberry PiでBCPLを動かしてコードを書いているらしい)

で、NECのACOS6というのがMulticsで、1960年代にMITでMulticsの性能評価で博士号を取ったSakinoという人がいるらしいとか、NECのACOSがMulticsなのは、当時の通産省の戦略で日本のメーカーが1社ずつ戦ってもアメリカに好きなように転がされるだけだから2社ずつ組んでプロジェクトを作るように指導したからで、富士通+日立がIBMプラグコンパチ、NECと東芝(というのはksmakotoさんから)がMultics、沖と三菱が(メモが無い)。(それでNECのメインフレームは異質なのか、とはじめてわかった)

というわけで前ふりがめっぽうおもしろかったが、そのあとはいかにしてUnix考古学を書いたかという方法論で、それもおもしろかった(が、余白があるけど時間がない)

第2部は斉藤先生と砂原先生と歌代さんと藤田さんによる雑談。

砂原先生から、理科大の計算機の博物館がおもしろいから是非行くようにと紹介がある。

斉藤先生が1966年にジェロームソルターという当時26歳くらいのドクター取り立ての先生がMulticsのことを教えるために1週間来日したという話を始めて、渕一博―その人とコンピュータサイエンスで読んだことだ、と(まだ関係者がいるというのはこういうことかと)いろいろ感じるものがあった。そのころユーティリティコンピュータということをファノン(?かなぁ)が提唱していたけど、それってクラウドで、60年かけて実現したというような話とか。レーガンがアメリカで1万台のロボットが稼働しているときに日本で50万台が稼働していることに驚いて日本からロボットの研究者を招聘してとかそういうような話とか、いろいろ。

Σの唯一の(というような言葉遣いがおもしろいわけだがそういうおもしろさというのは参加して楽しむものだな)成果はNECがUnixで日本語を動くようにしたこと(wnnはオムロン)。

で、温故知新(古いことを現在の視点から見直すことで新しい知見を求めることが重要である、というような結論でおしまい。

おもしろかった。

なお、Unix考古学の夕べはあと3回(JUS例会、博多の何か、京都OSC)あるそうなので、参加するといろいろおもしろいと思います。(点と点の情報が結合されることで思考の道筋が生まれる感覚ということかな)

Unix考古学 Truth of the Legend(藤田 昭人)


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