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日々の破片

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2021-07-22

_ かくしごとを観る

なんか小山さんが観ろと勧めるので、かくしごとを観にお台場のアクアシティへ行く。

豊洲臨海公園が封鎖とか、国立競技場回りのようにとんでもない交通規制があるのではないかとびびってむちゃくちゃ早めに行ったがむしろ道路は全然空いていて、気持ちよくレインボーブリッジを越えてすんなりとアクアシティの駐車場に入ることができた。とはいえ4~5階は満車で6階。

早過ぎるので時間が潰れるかどうか微妙な気はしていたが、くまざわ書店が入っていたので無問題。

くまざわ書店は昔ながらの紙袋なので余分なやり取りもなく(いや、カバーは必要かの儀はあるが)気持ちよく買い物する。

ダンピアの3巻やとんがり帽子の9巻を買ったりしているうちに開場時間となった。

ダンピアのおいしい冒険 3(トマトスープ)

(この巻ではバランスの問題か、妙にダンピアが悪い子っぽく意地っぱりになるが、相変わらずおもしろい。ギニア虫のあたりではカマキリも人間も変わらんなぁとか思う)

アクアシティは別にがらがらでもなんでもないのだが、映画館はがらがらでなかなか寂しい。

かくしごとも結局10人いなかったような。

で、事前の知識としては、父娘ものというのと、久米田康治の作品だということぐらいだけで観たのだった。面倒なので予告編すら観ていないのだ。

で、久米田康治って絶望先生という作品名以外は実は知らなかったりする(一方、一緒に行った子供は絶望先生は観ていたらしく、声優がまんま絶望先生でどうしたとか言っていた)。

で始まると、すかすかなアニメで最初戸惑いまくる。確かに、久米田康治の画は見たことあるから、すかすかなのはわかる。が、スクリーンいっぱいに白抜きでキャラクターだけがどーんと出て来て留まって駄洒落を飛ばしたりするから、これはなんだ感が無茶苦茶ある(おれは、アニメであっても映画は映画として観てしまうから、あまりにも映画の文脈から離れるときついのだ)。

が、徐々に慣れてくると同時に、待て、この進行でどうやって話が畳まれるのか? と疑問になってくる。

実は今知ったが、原作で12巻もあるじゃん(というような内容の厚みというのは観ていて了解できたが、せいぜい6巻くらいだと考えていたのであらためてびっくりだ)。

かくしごと(久米田康治)

要は2点が観ていて引っかかったのだった。

・留めた画でのセリフギャグ

・尺

が、前者はそういう表現と頭が自然と切り替わったので途中から実に楽しめるようになった。

特に土地勘がむちゃくちゃあるせいか(そういう意味では目黒川の地図が出てきたあたりからこっちの世界にうまく気持ちが入り込めたようだ)、坂を上るとオシャPワールドで、蔦屋スタバの魔界があったりするあたりでは大爆笑だ。

尺については90分でちゃんと収まっていると思ったが、今観ると90分どころか79分なのか。それはそれで凄い。

なんだこのゲストキャラは? と思ったのは従兄の歌舞伎者が鎌倉にやって来るところと、倉庫の取材にいきなり来る女性ライターくらいで、後者はなんか紹介の仕方と名乗り方が印象的だけど他に出てきたかと終わったあとに子供に聞かれたくらいだ。

今やディティールの記憶は子供のほうが上なので、お前が知らなきゃおれが知るはずないと思ったが、ライターという点から、奥さんの事故のことやその後の捜索についてなどの記事を暴露したやつなんじゃないか? (当然、それに伴い身辺に出没して主人公たちと絡む) と言ってみたら、なるほどと納得していた。が、知らんがな。

最後、映画館のやたらステレオ感が強調された環境で君は総天然色を聴いて、間奏部とかおれの印象と違うなぁと思った(リミックスしたのかも知れないが、再生環境のせいだろうな)。

で、今まで何度も聴いていたのに、初めて机の上のポラロイドがそもそも白黒写真なのか、と気づいた。字義通り、思い出が色褪せて来たという雰囲気としてだけ捉えていた。(追記: と思ったが、天然色という言い回し(ポラロイドのフィルムの売りだったような)から、ポラロイド写真は天然色で思い出のと同様に色褪せて来たが、やはり天然色というような心理だろうな)

それにしても父娘ものというのは良いものだ(ここでルイザミラーやシモンボッカネグラや思い出のマルセイユなどを想起して、あまりの表現の違いと、意外なほどの共通点に思いをはせたりする)。あるいはなるほど10歳の頃かといろいろ考えたり(まあ、微妙な線だな。実は同じ布団に寝ていてちょっと引いたが、ブリュンヒルデと偽グンターの間のノートゥングのような何かがあったのような記憶があるが画を忘れた。というかリングも前半ヴォータン、後半ブリュンヒルデの父娘の物語だった)。

というか、目覚めていきなりマンガを書き始めるところとか、先日観たポンポさんと被るけど、好きなことやっている職業人ならではの業みたいなものに深い共感があって気分がむちゃくちゃ良い。

おもしろかった。この作品は仮に事前情報をより知っていたとしたら、まったく観なかったのは間違いないので、小山さん情報のありがたみに感じ入るところだ。

かくしごと(八代 拓)

(なんか違う終わらせ方らしいが、どういうのがあるのか興味がなくもないが、でも観ない)


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